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ミンナ大好き○○の末路 2020年からアーリーリタイアはじめました

グノーシアはコマンド総当たりアドベンチャーゲーム

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ああ、そういう事ねってタイトル画面

 Switch版発売日近辺でにわかにザワついていたのでグノーシアをプレイしましたec.nintendo.com

SF世界を舞台に、いわゆる人狼系ゲームを1人で何度でも遊ぶことができます。
宇宙船の乗員の1人となり、議論と投票を通じて、生き残りつつ勝利を目指して下さい。
1プレイは15分程度。人数や主人公の役割などを自由に選んで遊ぶことができます。人狼系のゲームを知らない方でも、段階的にルールを理解できますので、ご安心を!

プレイ中に発生するイベントを追い、14人の登場人物達を深く知っていくことで、物語は進んでいきます。
このループする宇宙の謎を、ぜひ解き明かして下さい。

それでは皆様、良い旅を!

                     (ニンテンドーeショップ)

 リリースにあるようにストーリーを追うゲームです。ソリティアのように人狼で一人遊びするゲームではありません。人狼が終了するたびに初日に戻されるループにハマった主人公達がその謎を解いていきます

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 具体的には、クセの強い乗員相手に人狼を行い……

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 全員分の乗員データを全て埋める事がゲームのクリア条件です

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 とはいえ、このゲームでやれる事は実質人狼しかありません。人狼の経過と結果により得られるのは乗員データと経験値。良い戦果をあげるほど経験値は沢山貰え、能力値にふる事で人狼を優位に進めることのできる基礎能力とコマンドが増えていきます。低レベルクリアを狙う等の縛りプレイを最初からするヒトもいないでしょうから、「カリスマをレベル15にあげると○○コマンドが使えるようになります」と誘導されるままに、素直に経験値をふっていけばいつのまにか人狼の場をほぼ支配できるようになります。誰を生かすも殺すも思いのままになるので、終盤になる程に人狼自体のゲームとしての面白味は薄くなっていきますが、乗員データを入手する為に意図的に人員整理する必要も出てくるので、人狼は最後までゲームの根幹です

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シチュエーションを設定できる

 ゲーム内でなぜ人狼をするのかというと、人間に成りすましたグノーシアという殺人宇宙人っぽいヒトを民主的に投票で冷凍睡眠させることで無力化するという理屈がつけられています。人狼に参加する乗員は他の乗員への好意だったり、どういう行動に対して猜疑心を持つか等それぞれに個性を持っています。はじめのうちは態度の悪いラキオ、見てくれに怪しさしかないいしげみち、あまり発言しないジナが成す術も無く速攻で冷凍睡眠に放り込まれていくだけみたいなカンジになります。プレイを重ねるうちに乗員のクセがだんだんわかってきて、議論をどう誘導すればいいかが考えられるようになっていきます。プレイヤーがグノーシアになると、共犯関係のグノーシアが誰かわかるので、そのグノーシアとしての立ち振る舞いを観察する事で今度は自分が人間の立場になった時に誰がグノーシアなのかが見えてきたりもします

 先にも書いた通り人狼しかやる事は無く、その経過や結果がイベント発生のトリガーとなっている為、様々なシチュエーション下におかれるためにゲームを進めると人狼の参加人数、グノーシアの数、役割などを自由に設定する事が出来るようになり、さらに進める事でアンロックされるイベントサーチを使えば、イベントが起こりやすいシチュエーションをお膳立てしてくれるという事にはなっているんですが……

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イルカっぽいですが人間かグノーシアか平等に扱われます

 ボクはいくらイベントサーチしても、乗員の一人おとめの特記事項をあとひとつを残したまま全く埋まらないループにハマってしまったんですよ……

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 何ループもして、やっとセリフに変化が起き、フラグの立つシチュエーションも理解したのですが、その時は人狼の投票結果を覆すにはターンが足りず、特記事項を埋められずにループの彼方へ……。イベントサーチがどこまで意図的にお膳立てをしてくれるのかわかりませんが、発生条件のひとつとしておとめがあくまでも人間であるのが必須なのにグノーシア等に頻繁に設定され、イベントサーチに頼らず手動でイベントが簡単に起きそうな設定しても同じような事になり、イベントに到達するのに非常に苦労しました

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クリア時ループ数

 多分、おとめ関係で30~40ループぐらいはしてます……

 1プレイ15分程度で単純計算しても188ループ×15分=2,820分=47時間かかっているわけで、ひと昔前のフルボリュームのRPGぐらい時間を吸われています。商業系レビューでテンポがいいという評価を見かけますが、運がイイヒトはエンディングまでヌルっと到達するのかもしれませんが、つまずくと延々と苦行です。イベントの発生条件は特定の乗員が揃って生き残っているとか人狼中にコマンドを実行する等なのですが、ほぼノーヒントなので人狼をクリアしたからといって必ずしも話に動きがあるわけではないのです。動きがないと先に書いたようにループを繰り返す程経験値が入る為、人狼が作業と化します。まあ、ループモノの足掻く主人公を体感するという意味ではとても優れていますが……

 国産アドベンチャーゲーム黎明期はパソコンのキーボードでテキスト入力式で、例えばPOLISH(磨く) PILLAR(柱)って2回入力すると唐突に臼が手に入るっていう、理不尽な正解を探して総当たりでキーボードで単語を入力するような世界だったのですが、堀井雄二がコマンド選択式を導入した事によりあらかじめ用意された単語を選ぶだけでよくなりました。それによりより敷居が下がったことで推理を放棄してコマンドを総当たりする行為は当時はダサい嘲笑されていましたが、ゲーム開発者が外れの選択に対してもリアクションを用意するようになった為、それを見るがために結局コマンド総当たりは当たり前の事となっていきました。そういう流れの中で、チュンソフトサウンドノベルで選択肢を総当たりする事自体にゲーム性を持たせました。埋もれた正解を探し出すのではなく、順を追って全部見る事が正解。分岐しているようで、実は極太の一本道ゲーム。かつてのテキスト入力式で有名なポートピア連続殺人事件のように初手「はんにんはやす」でいきなりクリアは出来ないのです。そういう意味では、グノーシアはコマンド総当たりアドベンチャーゲームの系譜にあると思います。イキナリ確信を突く解法はなく、決められた手順で全てを見ないと(見させられないと)エンディングには辿り着けない。その見させられ方が表示される選択肢を選ぶのではなく、ループ設定と人狼に伴う状況という誤魔化し方が秀逸で、極太一本道ゲーム感が和らいでいます

 あと、グノーシアが高評価を得ているのは、ストーリー的に吐き気をもよおす邪悪が存在しない事と思わせぶりで放置される謎が無く、真エンディングに辿り着けば大団円なのもあると思います。まとめが綺麗すぎてヘタに続編を出すと荒れるヤツですね

 全て自力プレイで運の悪いループに飲まれると果てが見えなくて折れそうになりますが、今時は攻略サイトも充実してますので利用すればテンポよく楽しめると思います

 

 真エンディングを迎えるには……

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初手「はんにんはやす」
グノーシア|オンラインコード版

グノーシア|オンラインコード版

  • 発売日: 2020/06/02
  • メディア: Software Download
 

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