ストーンオーシャンのアニメを見てて、雨の日にヒッチハイカーを轢いて物語が始まって雨の日にヒッチハイカーを乗せて物語が終わってると今更気づいたりと発見のある中で思い出した連載開始当時に何となく思ってたジョジョの奇妙な冒険part6ストーンオーシャンの初期構想はリトルマーメイドだった説という与太話を特にオチもなくザックリと羅列していきます
まず、タイトルからしてストーンオーシャン(石作りの海)、舞台となるグリーン・ドルフィン・ストリート重警備刑務所の通称が水族館と「海」のメタファーで固められてるのに、何で主人公のアイコンが水生生物でなくクモの巣に捕らえられた蝶なの?という違和感。確かに蝶と蜘蛛の巣も刑務所のイメージとしては分かり易いのではあるのですが……
違和感と言えば、この飛び出た目に尖った頭というロッコバッコ所長の人間離れした風貌。最初はビリケンがイメージソースなのかと思ったのですが、このシルエットを「海」と重ね合わせると……頭のは背ヒレ? 魚類的な何か?
こんなヤツ?......ストーンオーシャンの主役、空条徐倫の目的は海から自由になる事と明言されます。しかし、海から自由になるって何だ? 足が生えて陸にあがる事か? なら人魚姫......リトルマーメイドだ、と当時は連想しました
ちなみに頭部に海洋生物の意匠は初期のキャラクターには盛り込まれてるのではないかと思われ、グェスはサンゴやヒトデ等
ウェザーはメンタコ
アナスイはウミウシ。少年ジャンプでまだレズは早いと止められて性転換したという噂もありますが、そもそもが雌雄同体でデザインされてたのかもしれません
フーファイターズは正体がミジンコの群れなので意匠は重ねずシンプルなデザインになりますが、群れをつくる海洋生物というアイコンと考えると
この3人娘は人魚、甲殻類、群れる習性のある海洋生物となり……
つまりはこういう事になるんですよ、きっと......多分......
さて、リトルマーメイドもストーンオーシャンも「英雄である父親の力を狙う者に娘が利用される」話です。事の発端は、どちらも窮地に陥った青年を助けたが為です。好意を寄せた青年に再開したいと、その為に発生した“取引”によりリトルマーメイドの主役アリエルは“声”を奪われ足を得る事になります。徐倫は「無実だ」という“声”を奪われ傍に立つもの(STAND BY ME)を語源とするスタンド能力を得ます。どちらも、立ち上がる(STAND)能力を得たわけです
そこで、徐倫に司法“取引”を持ちかける弁護士を見てみましょう。エルフ耳っぷりばかりが話題に上がりますが、髪型の赤丸のココ
ジョルノ・ジョバーナーの髪型の後ではインパクトが薄く隠れがちですが、赤丸で囲ったこれ。触手の意匠を感じないでしょうか?
リトルマーメイドでもヒロインに“取引”を持ちかけるのは触手を持った者です
取引の後、徐倫は看守達に
アリエルはアンダートウ達に常時監視される身になります。その監視を搔い潜ってこなさなければならないミッションは王子エリックとのキスです。このキスの要素が徐倫にも反映されています
それが、連載初期にやたらと推されていた「チュー」言葉
キス=チュー。愛=理解。
少し話は反れますが、物語の序盤で何で徐倫はグェスにネズミの死骸を着させられたのかといえば、フロリダにディズニーワールドあったからだと思ってます。フロリダの刑務所をテーマパークとして描くアイデアがあって、徐倫がミッキーマウスヘアなのもテーマパークの主役という意味合いがあり、ネズミの着ぐるみを着させられるのは必然でありある意味ギャグだったのです。さらにディズニーで身体が小さくなる物語といえば不思議の国の“グェス”という駄洒落でもあり、ディズニープリンセスやアトラクションがバトルする大乱闘ディズニーブラザーズの導入だったのです。このようにテーマパークだと考えると、やたら難解だといわれているその次のジョンガリA戦の理解も容易くなります。座ったまま夢を見させられてた、つまりライド型アトラクションに襲われていたのです。その証拠に、キャスト(看守)の説明があり、待ち時間を経てライド(面会室)に搭乗するというアトラクションの段取りをしっかり踏んでいるのです。その後プッチ神父によって「ジョンガリAの狙撃大作戦」というライドに乗せられ、実際のアトラクションが主人公視点では見ることのできない場面もちゃんと見せてくれるように、徐倫が知りえない「ライフルは骨で支える」とか独り言ちているジョンガリAの様子が描写されているわけです
話を戻してキスといえばエルメェスのスタンド「キッス」 これ、当初は徐倫のスタンドとして設定されてたのではないかと考えられます。4部・5部のジョースターの血統はスタンドでぶん殴る事で能力を発動してましたが、要は物体にマーキングする事が能力発動の条件で、女性主人公のマーキングの表現としてキスマークというアイデアが発端だったのではないかと。さらに言えばその能力。シールを貼った物体を2つに複製し、シールを剥がすと複製されたものはひとつに戻るが破壊されるというルール。これは、ストーンオーシャンの後に連載された7部スティールボールランで登場するパラレルワールドのルールに酷似しています。そして、パラレルワールドの発生はストーンオーシャンの結末でもあります。またシールを剥がすと2つの物体が引き合うという“引力”の発生。“引力”はストーンオーシャンの根底にある概念です。つまりキッスは“パラレルワールド”と“引力”という実はストーンオーシャンを象徴するようなスタンドなのです。もちろん実際の徐倫のスタンドはストーンフリーですが、糸で引き寄せる捕らえる等、わかりやすさの為に引力操作を可視化した結果が糸への変更になったのではないかと思われます
もう一つスタンド能力的にいえば、天候を操るウェザーリポートはリトルマーメイドのトリトン王のトライデントの能力ですね。力を奪われたトリトン王は下等生物に姿を変えられてしましますが、ウェザーも記憶を奪われ囚人に変えられています。ウェザーの帽子は王冠でありチームの家長として物語内でも父性を見せます。それゆえ、同じ属性の空条承太郎とは入れ替わるように入退場し、同じ空間に存在する事が一度もなかったのではないかと考えられます
ちなみにウェザー達の初登場時のピアノの中にいるカンジは
ピアノを貝にみたてたこのイメージなのではないかと思います
以上、物語初期の比較的分かり易い部分をつまみ食いしてきましたが、ストーンオーシャンとリトルマーメイドをこじつけようと思えばさらに細部にわたります。それほどストーンオーシャンには『人魚姫がキッスを武器に海から自由になる物語』の断片が随所に散らばっているのです。こういう穿った視点でストーンオーシャンを俯瞰すると、ラストでアナスイがアナ“キス”に名前が変わっているのも意味深に見えてくるのではないでしょうか?