何気ない断捨離が数十年後に牙を向く

　新しい生活を始めるにあたって古いものを整理するものだという固定概念のまま行動したばかりにやらかした２大後悔がある。

　一つ目は一人暮らしをするにあたり、ゲーメスト、マイコンBASICマガジン、ログイン、ファミコン通信、ヒッポンスーパー、ムー、GONの等、ゲームやサブカル雑誌のバックナンバーを全て処分してしまったことだ。特にゲーメストやGON等は創刊号から揃っていたモノも多く、ホントにオマエ何やってくれてんの？って話ですよ。もう当時のボクにT800を送り付けてやりたい。当然、全裸だから「オマエいい服着てんな」とか言われて身ぐるみ剥がされろと。死にたくはない。

　二つ目は結婚するにあたって、当時の最新ハードだったPS2とGCだけを残してSFC、ニンテンドー64、メガドライブ、メガCD、スーパー32X、PCエンジンDUO等のハード・ソフトを全て処分してしまったこと。（初代プレイステーションは速攻で動かなくなりプレステ2に移っていたので既に無かった）もう、この最低最悪な魔王の元にゲイツくんとウォズくんやって来いよと。そして一緒に住もう。このだらしないオッサンとトリニティタイムしようじゃあないか。

　まさか何気ない断捨離が数十年後に牙を向くとは思ってもみなかった。何気ないマンボがサンバ師匠を傷つけるとは。そしてサンバ師匠とフラメンコ師匠が結ばれるなんて……。とにかく、処分してしまったものが、もう読めない、遊べない、思い出せないという事が不安障害のトリガーになり不眠・過呼吸・鬱で長きにわたり苦しむ事になってしまった。

　中古市場で買い戻しが利かないわけではないが、商品の状態を見ると、その破損や変色や劣化が美品に分類できるようなレベルで補完してた自分には耐えられず、処分してしまった後悔がより強くなるだけだった。

　病状が落ち着いて最近思うのは、結局ボクの抱えてる病の正体は戻らない1980～90年代への強すぎる渇望なんだろうと思う。あの頃当たり前にあったモノとヒト。受験だったりバブル崩壊後の就職だったり面倒くさい事も沢山あったから当時は微塵も気づいてないし思ってもいなかったけど、戻らない素晴らしい日々。それが四半世紀も働いてるうちに、ゲーセンに行けばいつも会えたアイツらもいなくなり、気が付いたら独りぼっちになっていて、それが不安でたまらなく薬の依存するような事になってしまった。別に今と比べて昔がとりわけ良い時代だったわけではない。単にボク拗らせた1980～90年代大好きっ子なだけだ。自分は独りが好きだと勘違いして、実は気持ちの悪いセンチメンタルなロマンチストだなんて気づきもしていなかったのがボクの敗因なのだろう。

　ただ、このまま拗らせ続け、過去の残骸に溺れても行きつく先はゴミ屋敷の主人とか碌なもんじゃあないというのもわかっている。病状が落ち着いているという自覚がある今こそ引きずり続けている過去との折り合いをつけてなければならないのだろう。

　新しい生活の始まりが差し迫っている。同じ轍を踏まないようにしたい。